こんにちは。漫画ソムリエのななです。
今回は、漫画「悪女(わる)」の実写ドラマについてお話します。
このページでわかること
- 漫画「悪女(わる)」について
- ドラマ1992年版と2022年版の違いと共通点
- 各々のドラマ放送時の、日本社会の時代背景
漫画「悪女(わる)」について
深見じゅん作「悪女(わる)」は、雑誌「BE・LOVE」に1988年4号から1997年10号まで掲載された漫画作品です。
1991年、第15回講談社漫画賞一般部門を受賞しました。
あらすじ
主人公田中麻理鈴(たなか まりりん)は、大学を卒業し三流のコネで大企業近江物産に入社し、「庶務課の資材管理室」に配属されました。
麻理鈴は、入社してすぐに、同じ会社の男性に一目惚れをします。また会いたいと思う麻理鈴ですが、その男性の名前どころか所属する部署さえ知りません。
「あの人にまた会いたい」。麻理鈴はそのことばかり思うようになります。
そんなある日、職場の先輩峰岸さんに、「その男性に会うために、出世をするのはどうか」と提案されます。麻理鈴は、その提案を受け入れて、出世をする決意をします。
峰岸さんの指導のもと、出世を目指し奮闘していた麻理鈴にとうとう辞令がおり、「秘書課」へ異動することが決まりました。
しかし、それは、麻理鈴の歩く、出世への茨の道の第一歩だったのです。
2度の実写ドラマ化
漫画「悪女(わる)」は、1992年と2022年に、日本テレビで連続ドラマ化されました。
1992年の麻理鈴は石田ひかり
1992年4月18日から6月27日まで、毎週土曜日22時~22時54分枠で放送されました。主役の田中麻理鈴役を石田ひかりさん、先輩の峰岸さん役を倍賞美津子さんが演じました。
メインキャスト
田中麻理鈴 | 石田ひかり |
峰岸佐和 | 倍賞美津子 |
小野忠 | 布施博 |
梨田友子 | 河合美智子 |
T・O(田村収) | XIU JIAN (修健) |
夏目 | 結城しのぶ |
佐々木チエ | 鶴田真由 |
印象的なオープニング
オープニング映像は、「麻理鈴がひたすらマンゴーにしゃぶりつく」という内容で、入社したばかりのまだ世間を知らないフレッシュな女の子「田中麻理鈴」を、マンゴーのみずみずしさで表現した印象を受けました。
石田ひかりさんが、マンゴーに2分間弱しゃぶりついている映像なので、「若さが持つたくましさ」も感じられます。
原作の麻理鈴は、落とした「コンパクト」を拾ってくれた男性に一目惚れしますが、このドラマでは、落とした「飴」を拾ってくれた男性に一目惚れします。
ドラマの麻理鈴は、いつも飴を入れた缶を持ち歩いていたのです。かわいいですね。
当時の日本
また、近江物産のエリート社員小野忠という人物も登場します。小野は最初、麻理鈴のことを「知性がないブス」だと嫌っていました。しかし、麻理鈴の良さを段々と理解し、後にいい上司となる人です。この小野忠の役を演じたのは布施博さんでした。
小野忠が、自分の企画が通らなかった事に憤慨する男性部下に、「君は、あの2人が自分より年下で女だから(彼女達の)企画の良さが認められないのか」と言うシーンがあります。
こういう言葉を、男性が職場で発言する事が当たり前の時代に作られたドラマでした。
2022年の麻理鈴は今田美桜
2022年4月13日から6月15日まで、毎週水曜日22時~23時枠で放送されました。タイトルは「悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜」。主役の田中麻理鈴役を今田美桜さん、先輩の峰岸さん役を江口のりこさんが演じています。
今回の麻理鈴もいつも飴を持ち歩いています。
今回の麻理鈴が恋に落ちる場所は、会社ではなく、スカイダイビングに挑戦して着陸した場所でした。一緒に飛んだ優しい男性を好きになります。
メインキャスト
田中麻理鈴 | 今田美桜 |
峰岸雪 | 江口のりこ |
小野忠 | 鈴木伸之 |
梨田友子 | 石橋静河 |
山瀬修 | 高橋文哉 |
T・O(田村収) | 向井理 |
夏目聡子 | 石田ひかり |
現代の日本
小野忠役は鈴木伸之さんが演じています。前回と違い、小野と麻理鈴の年齢が近いせいか、「上司と部下」ではなく「犬猿の仲」という設定になっています。
コロナ下に入社した社員の苦労や、派遣の女性社員の管理について上司に相談できない女性社員など、現代の社会背景をしっかりと描いたドラマになっています。
Blu-ray&DVD発売
2022年11月9日、Blu-ray&DVD発売がされました。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
30年の時を経て、帰ってきたドラマ「悪女(わる)」。最初にドラマ化された当時は、「バブルで日本中が調子に乗っていて、仕事場はどこでも男社会。それが当たり前」という時代でした。
現在は、「働き方改革」を取り入れる事の重要性が多くの企業に求められ、また、人々の仕事に対しての考え方も大きく変わり、「出世を望まない若者」も増えています。
2代目のドラマのサブタイトル「働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?」は、こういった時代背景を指しているのでしょうか。
初代田中麻理鈴を演じられた石田ひかりさんが、今回は麻理鈴の上司夏目さん役で出演されました。この事で、峰岸さんの「日本中のすべてのOLが田中麻理鈴なのよ」は不変だと感じながら毎回ドラマを観ていました。「夏目さんの中にも田中麻理鈴がいる。だって、麻理鈴が夏目さんを演っているから」
今回は、深見じゅん作「悪女(わる)」の実写ドラマについてお話ししました。
読んで観て楽しんでいただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。