こんにちは。漫画ソムリエのななです。
今回は、秋元奈美先生の作品「通り」と、登場するアイドルグループ「からしめん隊」についてお話します。
漫画「Pなつ通り」について
秋元奈美作「Pなつ通り」は、雑誌「なかよし」に1988年10月号から1990年3月号まで掲載された少女漫画です。
あらすじ
主人公山根千夏は、比奈津高校に通う普通の高校1年生の女の子。
千夏の家族は、父親がニュースキャスター、母親はスタイリスト、弟はアイドル歌手という全員業界人。
しかも世間にはこの3人が家族だと知られていないので、千夏は、家族のことを、学校にも友達にも秘密にしていました。
ところが、ある日、家族と一緒に週刊誌に撮られてしまった千夏は、周囲の人々に、家族が有名人だということを知られてしまいます。
学校や周囲の理解をなんとか得られて安心した頃、千夏は母親に用事を頼まれて、仕事現場である撮影スタジオを訪れました。
すると、なぜかそこに、同級生のサボリ魔中野万里がいて…。
からしめん隊と光GENJI
からしめん隊
からしめん隊は、歌って踊る4人の男性アイドルグループです。
シングル「パナマでジャンプ」は、ランキング番組で初登場1位を獲得しました。他に「まるっきりパラダイス」という曲を歌っています。
人気絶頂のアイドルグループなので、コンサートや写真集、ラジオ、歌番組や雑誌に引っ張りだこ。CMは、スポーツ飲料と思われるドリンクのCMに出演しており、そのCMのコピーは「ボクたちのむならツーショット!!」です。
千夏の弟誠志郎は、浜田誠也という芸名で、からしめん隊のメンバーとして頑張っています。
光GENJI
光GENJIは、1987年8月19日にジャニーズ事務所からデビューした、7人の男性アイドルグループです。
当時の日本では珍しく、ローラースケートを履いて踊るグループとして、社会現象といわれる人気を博しました。
グループ名の「光」はメンバーの年上の2人を、「GENJI」は年下の五人を指しています。
1988年12月、シングル曲「パラダイス銀河」でレコード大賞を受賞しました。その後、1994年にメンバーの2人が脱退し、翌1995年にグループは解散しています。
からしめん隊と光GENJIの類似点
この漫画が連載された1980年代後半は、男性アイドルのほとんどが、ジャニーズ事務所所属のタレントでした。
そのため、からしめん隊も「歌って踊るジャニーズをモチーフに」描かれていることが伝わります。
ジャニーズの歴代のグループ名は、ひねりのきいた名前が多いことで有名です。
このからしめん隊というユーモアのある名前は、シブがき隊からヒントを得ている印象を受けました。
シブがき隊は、1982年にデビューし1988年に解散した、ジャニーズのアイドルグループです。18枚目のシングル曲「スシ食いねェ!」は今でも、色々なところで流れています。
からしめん隊は、光GENJIのようにローラースケートは履いていませんが、曲のタイトルが「まるっきりパラダイス」と「パラダイス銀河」で似ていたり、からしめん隊が出演CMの中で言う「ボクたちのむならツーショット!!」というフレーズは、当時、GENJIのメンバーが出演していた「ワンショット牛乳」という商品のCMのセリフ「ぼくたち飲むならワンショット!」と似ているところから、 光GENJIをイメージして作られたキャラクターだということがわかります。
この漫画の連載は1988年10月号スタート。光GENJIが、1987年にデビューして、1988年12月にシングル「パラダイス銀河」でレコード大賞を受賞しているので、からしめん隊はとてもタイムリーなパロディーキャラクターだったんですね。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は、秋元奈美作「」と、登場したアイドルグループ「からしめん隊」と光GENJIの類似点を中心にお話しました。
「Pなつ通り」は、普通の高校生の女の子が芸能界という世界を少し覗き、苦しいことに挑む強さと楽しさを知り成長する漫画です。
「芸能界でやっていくプロの概念」をしっかりと持った誠志郎のような業界人たちと、「一般人としてのごく普通のモラルを持った」千夏の考え方の、行き違いも読みどころとなっています。
読んで楽しんでいただけたらうれしいです。
ありがとうございました。